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天空のマンハッタン?イエメン・シバーム『泥の高層住宅』に住むということ

天空のマンハッタン?イエメン・シバーム『泥の高層住宅』に住むということ アジアの家
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砂漠の真ん中に、まるで現代の摩天楼のように突如として現れる泥のビル群。それが、イエメンの世界遺産「シバームの旧城壁都市」です。「砂漠のマンハッタン」とも呼ばれるこの驚きの光景は、一体なぜ、どのようにして生まれたのでしょうか?この記事では、その不思議な建築の歴史と秘密、そして数世紀にわたり受け継がれてきた驚きの暮らしに迫ります。知られざる先人たちの知恵と、想像を超える世界へ、一緒に旅立ってみませんか。

厳しい環境が生んだ「垂直都市」それがシバームです

シバームの象徴である泥の高層住宅群は、洪水から集落を守り、外敵の侵入を防ぎ、そして限られた土地を最大限に有効活用した「垂直都市」です。

初めてこの光景を見た人は、きっと「なぜ砂漠の真ん中に、わざわざ高い建物を、しかも土で造ったんだろう?」と疑問に思うはずです。その答えは、シバームが位置するワディ(涸れ川)沿いの地形にあります。                ここは時折、大規模な洪水に見舞われるため、居住地を高台に集約する必要がありました。

さらに、周囲の部族からの襲撃に備えるため、街全体を城壁のように家々で囲み、見張りやすく防御しやすい高層構造にする必要があったのです。限られた安全な土地に多くの人々が暮らすため、必然的に建物は上へ上へと伸びていきました。日干しレンガを巧みに積み上げて造られた家々は、高いもので7階建て、8階建てにも達します。これは、まさに厳しい環境を生き抜くための、シバームの人々の卓越した知恵と建築技術の結晶と言えるでしょう。

シバームの泥と生きる知恵、コミュニティが支える現代の暮らしがあります

シバームでの日々の暮らしは、主建材である「泥」の特性を知り尽くした維持管理の知恵と、住民同士の非常に強いコミュニティの絆によって、数世紀にもわたって支え続けられています。

泥でできた建物は、丈夫ではありますが、雨や風には弱いという側面も持っています。                 そのため、シバームの人々は、数年ごとに建物の外壁に新しい泥を塗り直す「タルフィート」と呼ばれる補修作業を欠かしません。これは個々の家で行われるだけでなく、時には街全体の共同作業として、住民総出で行われることもあるのです。

僕が元不動産屋として見ても、この持続可能な維持管理システムは本当に驚きです。また、建物同士が密集し、時には屋上伝いに隣の家へ移動できるような構造は、自然と住民間の緊密なコミュニケーションを生み出し、強い相互扶助の精神を育んできました。もちろん、現代においては、上下水道といったインフラの近代化の遅れや、建物の老朽化という課題も抱えています。しかし、人々は古くから受け継がれてきた知恵と共同体の力を大切にしながら、助け合い、このユニークな泥の摩天楼で日々の生活を営んでいるのです。

シバームは過去からの贈り物、未来へつなぐべき「生きた遺産」です

シバームは未来へと大切に継承していくべき貴重な「生きた遺産」と言えるでしょう。

考えてみてください。                                                     シバームの建築は、その土地で手に入る「泥」という自然素材だけを利用し、化石燃料などのエネルギー消費を極力抑えた、まさに現代で注目されるサステナブル建築やエコ建築の先駆けのような存在なのです。

そして、人々が寄り添い、助け合って暮らすことで維持されてきた強いコミュニティは、人間関係が希薄になりがちな現代社会において、その価値が改めて見直されています。

しかし、この人類の宝とも言える貴重な文化遺産も、残念ながら近年のイエメン国内の紛争や経済的な困難、そして気候変動による記録的な豪雨被害など、様々な深刻な脅威にさらされているのが現実です。                      未知の世界への探求心を持つ私たちとして、この「生きた遺産」の持つ普遍的な価値を深く理解し、その保護と継承の動きに関心を持つことは、非常に意義深いことではないでしょうか。シバームの姿は、過去から現在、そして未来への大切なメッセージを私たちに伝えているように思えてなりません。

まとめ

イエメン・シバームの泥の高層住宅は、厳しい自然環境を生き抜くための驚くべき知恵と、それを支える人々の強い絆が生み出した、まさに「奇跡の建築」です。

そのユニークな歴史と現代に続く暮らしを知ることは、私たちの固定観念を覆し、持続可能な社会のあり方や文化の多様性について深く考えるきっかけを与えてくれます。この驚くべき「生きた遺産」に思いを馳せ、まだ見ぬ世界の奥深さに触れてみませんか。きっと新たな発見があるはずです。

この記事を書いた人
米田 真一

私は10年勤めた会社を30代で辞めて、今では世界中を旅しています。

日本ではあり得ない家を見るのが好きで、その面白さを伝えたいと思い、ブログを立ち上げました。このブログでは、日本ではできない家のつくりや、異文化の暮らし方などを皆さんにお届けします。

私のサイトを通して、世界の家の多様性に触れてみてください。

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